占いと輝石販売の店Ice Blue

永遠のうた eternsl songs ふたり姫篇Ⅳ(新三国同盟)


永遠のうた eternal songs ふたり姫篇Ⅳ

★第一節 ヒトラー再び

 銀河系の遥か彼方、アンタレス星系を航行する大型宇宙船、モービディックⅠの展望室に一人の男が居た。両手をCの字に曲げ、ちょうどジャイロ駒のようにCD型に、ふたつの弧型Cを組み合わせている。

そのCCマークの隙間から、宇宙を覗いている。天体観測をしているようだ。男の名前をアドルフヒトラーオリジナルと言う。第二次世界大戦のナチスドイツアドルフヒトラーは、この男のクローンである。オリジナルのことを、皆は「Σ(シグマ)」と呼ぶ。

 アドルフヒトラーはドラキュラであった。18世紀から300年ほどを生きながらえていた。

Σの後ろには、銀色の狼と、白い狐が控えている。獣と言っても、高度な知性を備えた、進化した存在である。狼の名をガーディアン、狐の名前をジャッジメントという。

「やはり、行くことにしよう。」シグマはCCマークの間から宇宙の星々を眺めながら、独り言のようにつぶやいた。

「地球人類を見捨てることは、やはり私にはできない。」Σの乗る宇宙船、モービディックⅠは、全長が太陽から火星まであるほどの超大型宇宙船である。純白の流線型をしたその姿は、シロナガスクジラを連想させる。

Σは宇宙を正しく理解していた。太陽系は、相対性理論の呪縛により、重い磁場が一重二重に取り囲んでいる。黒い磁力の膜が、地球の周りを取り囲んでいるのだ。つまり、地球の周りだけ物理法則が異なっている。その磁場を突破する時には、相対性理論の呪縛のため、膨大な時間が経過してしまう。

相対性理論は、地球の周りのみ存在する。黒い繭のように地球の周りを何重も取り囲んでいる。

もう時間がない。太陽系は、あと二万年ののち、銀河系の光の渦、フォトンベルトに突入する。

フォトンベルトはプラズマの嵐であり、残り二万年で地球の生命は死滅する。

現在モービディックⅠは、アンタレス星系で機械の星パルサーと交戦状態にあった。パルサーとは、かつて文明が存在したが、戦乱により生物が滅んだ星である。現在は、生き物を殲滅するというプログロムのみが残った、生き物殲滅のみを目的とするジェノサイド星である。

モービディックⅠに、館内放送が響き渡った。

 「アンタレス星、重力バランスが保てません、崩壊します。」

赤色巨星アンタレスの最期であった。アンタレス星とは、キリスト教の故郷である。日本の赤い日の丸も、アンタレス星を表す。彦星ヴェガの事である。

「進路を北極星に取れ。敵軍を振り切り、その後太陽系まで後退し、太陽系に絶対防衛線を敷く。その後太陽系の人類をモービディック1に避難させ脱出する。」

 「しかし、太陽系までは、黒い繭のせいで2万年の歳月を必要とします。モービディックⅠの航行は大きく見積もっても残り1万年が限界です!」オペレーターが叫ぶ。

「1万年でアンドロメダ星雲まで後退する。そこで補給を受けられれば地球到達も不可能な話ではない。」

「全艦内に回線を開け。これよりΣが演説をする。」

 「艦内の全クルーに告げる。これより本艦は太陽系に向かう。地球人類の救出ならびに、パルサーとの最終決戦の地とする。私に皆の命を預けてほしい。全滅の可能性もあるが、それでも私はこの決断をした。分かっていただきたい。」

 「ハイルヒトラー!もとより総統閣下にこの命は捧げております。燃えてこそ命であります。」クルーが口々に答えた。

 

 「進路を北極星に取れ。多次元宇宙航行艦モービディックⅠ、次元跳躍フェイズへシフトせよ。各クルーは持ち場に着き準備せよ。」

 ガーディアンとジャッジメントが星空を眺める。星々が瞬いている。いや、違う。これは戦乱の瞬き。ナチス(Nazis=Nazka)と機械星パルサーの戦いの炎だ。

 「アンタレスよ、すまん。」宇宙の遥か彼方の出来事ではあるが、神々のイデア、創成界の世界の出来事は、必ず地球にも現象化する。赤色巨星アンタレスは、日の丸を表す。すなわち日本だ。今後日本が崩壊することが予見されるわけだ。

モービディックⅠの表面がプラズマ化して青白い火花が散る。次元跳躍に入ったのだ。

「モービディックⅠ、順調に跳躍中。約1週間でリアライズします。北極星までの次元跳躍は、現地時間でおよそ5千年。」クルーからのアナウンスが入る。

★第二節 シャンバーラ

ヒマラヤ山脈の大きな谷の割れ目を歩く一行が居る。そこは現地では死の谷と呼ばれている。岩の割れ目から地底への空洞が開けている。知る人ぞ知る秘密の通路である。ヒマラヤには、ヒンズー教のバラモンのほかに、仏教の僧侶、それにキリスト教の修道士も住んでいる。地底世界を、シャンバーラという。

先日、クリスチャンの修道女に、天啓が下りた。マザーテレサの設立した女子パウロ会の若い修道女の夢まくらに、女子パウロ会の守護聖人、タダイの聖ユダが生まれてくるというメッセージが入ったのである。タダイの聖ユダとは、キリスト教における第11使徒であり、ユダと名前がついていても、第12使徒である裏切り者のイスカリオテのユダとは異なる存在である。

タダイの聖ユダは、絶望的状況における守護聖人であると言われている。

人類に危機が迫っているのだ。

ヒマラヤには、地下地球中心につながるトンネルが存在する。地球上には、そのようなトンネルが7か所あり、地球の中心には、光の花と呼ばれる霊太陽が輝いていると言われている。シャンバーラは、この地球中心に繋がる通路の一つである。

かつて、第二次世界大戦時のナチスドイツも、南極にあると言われる地球中心への入り口を探す調査隊を南極まで派遣していた。

その派遣では、南極にある”あるもの“を探してくるようにとの命令もあったが、”あるもの“が何であるのかは皆には皆目見当がつかなかった。結果として、部隊は全滅してしまった。

実を言えば、“あるもの”とは、ペンギンの卵である。アウシュビッツに収監したユダヤ人に蔓延していたウイルスのワクチン製造に必要なものであった。アウシュビッツにおけるユダヤ人の大量虐殺とは、蔓延した未知のウイルスを封じ込めるためでもあった。

地球中心には、三人の神が存在するとインドでは信じられている。シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマンである。地球中心には、枯れない光の花が咲き、青黒い死なない存在である一つ目の巨人が、クリスタル結晶の肥料を花に運ぶ作業を延々と続けていると言われている。エジプトのピラミッドも、この青黒い巨人を封じ込めるための重しとして作られている。ピラミットという碇役である。

青黒い巨人の名を、ニビル星人という。冥王星のさらに外側に、一切の光を反射しない真っ黒な惑星が存在する。太陽系のもっとも外側にあるのがニビル星である。一切の光を反射しないので、現代科学ではその存在を立証することはできない。

 かつて、ニビル星人が大挙して地球に攻め込んできた時代が存在した。死なない存在である青黒い巨人を、地球の神々は、地の底に封印することでなんとか撃退した。

その対ニビル星人の陣頭指揮を執ったのが、イエスキリスト(キリスト意識のマスター)と言われている。

ニビル星人を封印した地球中心への扉には、パスワードが設定されている。Code“X.X.X”。三つのカラーと、右回転、左回転の組み合わせである。地球三神のSexが、そのカギと言われている。

シリウス星の存在である青龍は、地球中心へのカギを探していた。地の底に封印されたサタンは、シリウス星の黒い龍と呼ばれる神であり、それは生殖を司る神の名である。青龍の目的は、黒い龍サタン救出と地球の浄化である。浄化とは地球上でもう一度ノアの大洪水を起こし、人類を粛正することである。人類により地球環境が破壊される前に、地球浄化をするというのが、青龍の目的、強いてはIce Blueの真の存在意義である。

 サタンは、別名ブラックマリアと呼ばれる。木下家の女児がブラックマリアの血筋であることを、まだ青龍は知らない。楽園で知恵の実りんごをかじったと言われるイヴの事を、ブラックマリアという。

死なない存在であるという点で、ドラキュラである青龍と、青黒い巨人は酷似していた。青黒い巨人を巨神兵とも呼ぶ。

インドの神話においては、宇宙は神々のセックスにより誕生したと伝わっている。

今回のアセンション(次元上昇)の計画はこうだ。まず地球人類の遺伝子データのバックアップを取る。その遺伝子データを地球中心のコンピューター“Load”へ保存した後、地上の地球人類を粛正する。2万年後のフォトンベルト突入により、地上の生命は死滅する。その前に、地上生命の全遺伝子データを採取し、別の星に移り再生させる。それが、青龍、そしてIce Blueの目的でもある。

ある日の夜のことである。相馬猛は、夢の中にいた。木の枝に大きな繭がぶら下がっている。その中には、失踪した少女たちが眠っている。猛は思った。このまま歳を取らないで、永遠の若さを手に入れられたとしたら、それはこの子たちにとって、とても素敵なことではないか。白い獅子が猛の背後で赤い目をらんらんと輝かせている。

 「もうすぐ“あれ”が来るな。くくく、楽しみだ。宇宙のかなたからあれが集まってくるまで、しばらくこの小僧のサンプル集めに付き合ってやるか。」

相馬猛は、おもかるの封印候補である。今回の地球中心の人柱役候補のひとりである。

摩天楼が大津波に飲み込まれる夢も相変わらず見ることがあるが、あまり気にしないようにしている。

 「むすんでひらいててをくんでむすんんで~♪」どこからか童歌が聴こえる。

「猛、居るか?」相馬猛の祖父、相馬白虎である。こんな夜中に猛の部屋を訪れるのは珍しい。白虎はひょうきんなおじいちゃんであるが、一本筋が通っていて、誰からも好かれる性格である。実は、男としてカッコいいと、猛はひそかに尊敬していた。

 「猛、猛よ?入るぞ?」

 「どうしたの、おじいちゃん?」

「お前、夢の中で変な夢を見てないか?わしの白月光に変なビジョンがちらつく。」左目の邪眼、矢光と対をなす、右目の癒しの眼、白月光を白虎は持つ。冥界のビジョンを観る能力である。

白虎は西の聖獣を守護獣に持つ。その名の通り、白虎が守護獣となっている。猛に取りついている白い獅子は、おそらく相馬白虎の血筋から譲り受けたものであろう。

相馬白虎が、いったい何歳なのか、猛はその歳を知らない。明治時代の写真に、相馬白虎そっくりの人物が写っていたのを、昔猛は見ている。白虎は、他人の空似と一笑に付したが、どう見ても白虎その人であった。

相馬家には謎が多い。“ゆ”の家と言われる家系である。ゆとは、お湯、石油、やまたのおろち、その他、温め役の家系である。ちなみに木下家は“ス”の家系であり、穢れ払いをする一族である。松田家を“輝”の家系と言い、ライトワーカーズと呼ばれる。この御三家は、歴史の影で様々な事件に黒幕として関与してきた。魔道世界では、とても有名な存在である御三家である。

「猛には青黒い巨人が付いたようだな。」白い獅子はとても楽しそうだ。

青龍は考えていた。今後、人類粛正に最も効果的なのは、子孫が生まれないようにすることだ。人類の子孫が生まれなければ、徐々に人類は衰退していく。そのために有効なのは、性病の蔓延ではないのか?ちょうど、南米世界のインカ、アステカ文明の様な状態を作ればいいわけだ。ナスカは、ナチスと語源を一にする。青龍はドイツのIce Blueに所属しているので、ネオナチスとも交流がある。ネオナチスは緑の党とも呼ばれる、環境保護過激派団体である。性病ウイルスをまき散らすことで、人類は衰退する。

一方、インドのヒマラヤのふもとから、4体の最新兵器がひそかに搬出されようとしていた。軍事産業企業、OOpener co,lidに発注されていた四機である。インドのIT企業という表向きはあるが、その実は、闇の武器開発企業である。Ice Blueの発注した四機の戦術軍事兵器、風月、火天、地水、雷山である。

風月は日本へひそかに運び込まれる予定だ。火天はインドネシア、地水は台湾、そして雷山はヒマラヤに配備される予定である。

時を同じくして。あの方に魔の手が迫っていた。Divine arrowsの黒サングラス男の襲撃である。

「黒ウサギ見っけ。」あの方を背後から呼び止める男が居た。玄武と別れた後、いつの間にか後をつけられていたようだ。

 「あのさあ、黒ウサギさん。僕とデートしない?いいところに行こうよ。SM施設も整ってるからさ。結構刺激的だよ。ついでに、さっきのハゲ男と話してたこともいろいろ聞きたいんだけどさ。いいよね?」すらりとした美丈夫である。だが、明らかに軍隊の訓練をうけた身のこなしをしている。」

 トントン…。その男の肩を誰かが叩く。

 ドカ!男の横っ面をいきなりげんこつが叩く。殺気などみじんも感じさせない身のこなしである。

 そこには黒いスーツを着たホスト風の男が立っていた。ホストは、涼しい顔をしている。

 「あの方様、大丈夫ですよ。」

 「紫花(しいか)様より、あの方様の警護を申し付けられています。お話は後程。」

 背後からいきなり殴られた男は、呆然としている。見る間に顔が怒りに染まる。

 「てめえ、ふざけた真似してくれるな。ある程度武道の経験があるようだがな、軍隊の殺人スキルをなめるなよ!」懐から刃渡り5センチほどのナイフを取り出した。

 「おやおや、たかがホスト風情に、全力ですか。私が土下座して謝れば許してもらえますか?」ホストは涼しい顔をしている。

 「しゃ!」「てあ!」ふたりが同時に動いた。ナイフを紙一重でかわしたホストが、男の足を払い、顔面に回転脚をぶち込む。

 「あの方様、走って!」ホストがあの方様の手を取り、梅田の街を全速力で走る。

 「はあ、はあ、何とか逃れられましたね。あのまま戦っていたら、殺されていた。」ホストが本心を吐露する。

 ホストがあの方様に改めて自己紹介する。

「紫花とは、関東の仁義の世界の姫君の事です。松田玄武様の奥方と言えばわかっていただけますか?」

「私は、ホワイトバビロンズというホストクラブのホストの一人です。名前を名乗るのは控えさせていただきたいです。」

あの方様は顔を真っ赤にして叫んだ。

「ほ、惚れてまうやろ!」

ホストはあの方からの愛の告白にも涼しい顔をしている。事務的な口調で今後について説明した。

「あの方様、これからはおひとりで外出しない方がよろしいかと思います。Black Rabbits Lは、完全に監視対象になってますね。監視しているのは主にアメリカ軍でしょうけれど。」

「うちらは、一宗教団体にすぎんよ?」

「Ice Blueの協力団体とみなされています。ドイツとのコネクションができたと判断されましたね。」

 一方、その数日後の正午、松田玄武は奈良県警からの呼び出しにより、奈良検察庁に招かれていた。

「奈良県警、検察官の高橋です。松田さん、ご足労頂き感謝します。」

「捜査に協力って、どういうことや?うちはただの民間人やで?それに、警察に協力したかて、一銭の得にもならんわな。ただ働きはお断りや。」

 「もちろん、日本国の相場ではありますが、ある程度の謝礼はさせていただく所存です。それに、あなたの息子さん、聡さんとおっしゃいますか。アメリカから要監視対象としてリストアップされています。北朝鮮のスパイ疑惑を掛けられているようですね。我々は、それを“なかったこと”にすることもできますが。」

「わしに何を占えというんじゃ?せいぜい失せ物捜査くらいしか手伝いはできんと思うがな。」

 「関東で、少女失踪事件が立て続けに起きています。誘拐なのか家出なのかわかりませんが、皆、約束の地に行くと書置きしています。北朝鮮の誘拐事件ではないかとにらんでいます。何分、証拠となるものが全く残されていません。ロシアのように、霊視能力者のプロファイリングにでも頼るしかない現状です。」

 「拉致被害と考えとるわけか?だとすると、IT世界がからんどるで?アメリカのシリコンバレー世界じゃよ。アメリカのコンピュータ世界のセキュリティ問題とかな。軍事機密でよくは分からんが、息子がその点は詳しいと思うわ。」

 「聡さんは、経済学部出身でしたね、その後アメリカにわたり、理論物理学を学んでいらっしゃると聞いています。」

 「その通りじゃな。」

 「水爆にもお詳しいようですね。」

 ★第三節 黒い龍

 「木下さん、韓国と台湾、どちらに行きたいですか?」しろがねがななしおじさんに尋ねる。

 「一つ提案を聞いてもらいたい。ひかると、さとみさんを、関東に帰してもらいたい。海外には、私一人が行く。」ななしおじさんが提案した。

 「ほう…。」しろがねが目を細めた。

 「誠司さん、一つ提案があります。インドの“あるもの”を日本に運ぶ手伝いをしていただけませんか?これは、危険を伴う訳ではありません。けれど、ある“役割”を演じてもらう必要があります。”Zero”の影武者役です。移動ルートは、台湾からインドネシア、その後中国大陸に渡りインドです。

 「朝鮮半島には、木下家の関所を設けた。ヨーロッパと朝鮮半島に、二重の関所を設けてある。木下家は魔女の血筋なのでね。東南アジアの情報もいろいろ入るでしょう。」誠司がしろがねに答えた。

 「台湾華僑を知り合いに持つのは、将来的に誠司さんの有力な資産になると思いますよ。その中から奥方を選んではいかがですか?」

 マイクロソフト系の会社という表向きになっているが、台湾資本のインドIT企業、OOpener co.ltdの軍事兵器の一つを日本に運び込みたい。Ice Blueの本心はそこにあった。“風月”。一機で世界の軍事バランスを大きく変えてしまう、Ice Blueの切り札である。

 「ひかるさんとさとみさんは関東に帰しましょう。我々が責任をもってお届けします。誠司さんは、台湾行きの船に乗ってください。パスポートは我々が用意します。80日間世界一周ですね。同行するパートナーが、わたし、しろがねでは不服でしょうけれど。」

★第四節 テロ

 アメリカの特殊部隊、ディバインアローズ司令官は、ペンタゴンへの報告書をまとめていた。Ice Blueは、ドイツを拠点とするテロリスト集団であるというのが結論である。アメリカは、経済が衰退すると、必ず仮想敵を作り、戦争により経済を回してきた。

切り札は、ブラック4と呼ばれる“何か”であり、インド並びに台湾を調査する必要があると報告書は結ばれていた。インド製の核が、ベトナムに配備されたとの報告もある。それは世界の軍事バランスを大きく崩す脅威となる。北朝鮮も暗躍しているようだ。拉致問題並びに、水爆配備問題が浮上している。

Ice Blueの目的は、現在調査中だが、日本分割も視野に入っているようだ。朝鮮半島のように、南北で分割して統治する計画が進んでいると考えられた。

 世界は、東西冷戦時代から、急速に三極化世界にシフトしていくと思われる。報告書にはそう結論付けられていた。三極とは、カナダ、インドネシア、中国の事である。

アメリカのNASAでは、宇宙の軍事戦略が検討されていた。実をいうと、2万年後の地球の滅亡は、NASAもすでに予見していた。NASAは、対策として地球の周りに三つの宇宙ステーションを作る計画を立案していた。

地球の周りの3機により、プラズマを中和する作戦である。さらに、月までのラグランジュポイントに宇宙ステーションを作り、人類を隔離避難させる計画もある。プラズマと言っても、太陽風が強まる程度であると楽観的に考えられていた。地球地表のオゾン層が破壊されても、宇宙ステーションのシェルター機能で耐えられると考えられる。

 しかし、NASAのこの試算が、あまりにも楽観的な机上の空論であることを、アメリカ上層部は知っている。電磁機器が使えなくなる未来は、明らかに現代文明の終焉を意味していた。

NASAはアポロ計画において、実は月まで到達していない。この問題は、全くお手上げで、残り二万年で、地球は緩やかな死を迎えることになっていた。

 現在建設中の地球を取り囲む3機の宇宙ステーションは、それぞれ高度な演算機能を持ち、カスパー、メルキオール、バルタザールと命名されていた。イエスキリストの誕生を予見した東方の三賢者にちなんだネーミングである。果たして救い主タダイが誕生するのか。2万年の長きにわたり、地球の環境を維持することは、人類にとってとても難しい難問である。目先の利益しか目に入らないのが、現在の地球人類のレベルであるからだ。

 一方、よい、いつ、むゆの持つ、三つのJ石も、日本における三賢者の試作機である。みつき(三月)と呼ばれる人工知能が搭載されている。月の子供たち、フォトンベルト時代を生き抜く半人工生命体研究のひな型である。

 日本においては、人類のサイボーグ化を主な研究対象としていた。問題はいくつかある。月の子供たちは生殖能力がとても弱い。

生体コンピュータである月の子供たちは、進化した存在ともいえるが、進化の袋小路にいるともいえる。宗教法人ARKは、箱舟ではあるが、その箱舟は果たして正常に機能するのかどうか、現状では皆目見当がつかなかった。

★第五節 モービディックⅡ

アドルフヒトラーΣの乗る、モービディックⅠは、順調に北極星に到達していた。次元跳躍により、北極星系ではすでに5千年の歳月が経過していた。こぐま座が現在の北極星である。

 「重力振動が来ます。何者かが本艦の隣にリアライズしてくる模様です。」モービディックⅠのクルーからの報告である。

 純白の流線型宇宙船、モービディックⅠと同型艦と思われる宇宙船が、亜空間から現れた。

 「こちら、モービディックⅡ、天理号である。Σよ、久しいな。」

 「ほう、キチガイの観音か?久しいな。」Σは知っていた。魚観音と呼ばれる、天理教教祖の末裔である。魚観音と呼ばれるその女性は、過去の先祖の記憶を完璧に覚えていた。親から子、子から孫へ意識が受け継がれていく。そのような“不死”も存在する。5千年の歳月が地球では過ぎているわけだ。天理教の一派が、北極星系まで進出してきてもおかしくはない。天理はチャネリングをする宗教団体であった。神楽舞により、月からのメッセージを受信するのが天理の神事である。

 「地球人類はどれくらい生き残っている?」Σが魚観音に尋ねる。

 「さあな、月の子供たちしか乗せられなかったからな。ごくわずかの者しか乗せられんかったよ。皆からはキチガイ扱いされたからな。世の常だ。」

 モービディックⅡは、モービディックⅠに比べ、遥かに小型だ。定員にも、厳しい制限があることがうかがえた。

★第六節 箱舟ARK

 現在の地球状況に戻る。木下誠司は、しろがねとともに、台湾行きのフェリーに乗っていた。台湾には、何らかの黒いネットワークがあり、その情報員と意見交換をするとのしろがねの話であった。

 「誠司さん、台湾にはドラキュラが多いので注意してください。血を吸うというのは、金を巻き上げるという意味でもありますが。一応監視役はつけますが、ボディガードと思っていただきたい。現地の通訳を兼ねます。」

 「台湾には、華僑の方々も多数いらっしゃるようですね。まさか、ボディーガードというのは、女性ですか? 魔女の家系にドラキュラを入れるわけにはいきませんよ。魔女というのは、クリスチャン世界なので、ドラキュラととても相性が悪い。」

 「キリストの説く“永遠”の世界というのは、ドラキュラの世界ではないですか?」しろがねが尋ねた。

 「しかし、現在のコロナウイルス状況で、よく船の便がありましたね。ダイアモンドプリンセス号が、確か日本と台湾を結ぶ客船であったと記憶しておりますが、コロナウイルスにより、真っ先に運航停止になりましたね。」

 「誠司さん、それは偶然だとお考えですか? コロナウイルスは、この“計画”をつぶすために、何者かが散布した人為的なものです。世界を分断し、人の交流を制限する目的です。世界は急速に諜報世界に移行します。スパイが暗躍する世界を事前に察知した何者かが、コロナウイルスによって、物理的に人の交流を強制的に制限したのです。」

 今から5億年ほど前。アンドロメダ星系から“月”がとんできた。月には

、水が湛えられていた。地球の引力につかまった月は、地球に大量の水をあふれさせた。ノアの大洪水と言われる現象であった。同時期、ノアと三人の女性が、宇宙船で地球へと着陸していた。様々な生物の遺伝子情報を満載した箱舟である。ノアの一族を、ブルーブラッドという。現在も、ブルーブラッドの子孫300人ほどが、世界の富の半分を握っている。ノアこそ、地球へ生命をもたらした“神”である。ユダヤ人の祖先である。

 一方、遺伝子情報から復元された“人類”が、五大種族となって地上に現れた白赤黒黄青の一族である。土くれから作られた人造人間である。ユダヤ人はノアの末裔なので、神の一族である。アドルフヒトラーは、それが許せなかった。ブルーブラッドを根絶やしにして、作られた人間の世界を現出しようとしていた。生き物のルーツは、ノアにある。ノアの宇宙船は、現在もエジプトのスフィンクス像の地下に眠っている。

 ★第七節 バチカンの手紙

 「手紙を書こうと思う。」ローマ法王は側近に伝えた。

 「魔女どもの“白法王”が何者なのか、早急に調査せねばならん。魔女どもがローマに多数潜伏しているようだ。」

 「場合によっては、薬による“洗礼”も必要になるかもしれん。カナダの聖白色同胞団にも手紙を送らねばな。これは、キリスト教始まって以来の緊急事態である。魔女どもの背後に、ドイツが付いたようじゃ。相変わらず、プロテスタントどもは、つくづく癪に障る。」ローマ法王は、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。

 白と黒のハルマゲドン。最期の審判の時が近づいている。ローマ法王は内心それを望んでいた。キリストの復活が近い。天使と悪魔の最終決戦の後、キリストの復活があると黙示録に書かれている。しかし、内心ローマ法王はキリストの復活など望んでいない。

 週替わりがあったようだ。ユダヤ教において、週とは、天地創造の一週間を表す。つまり、古い宇宙から、新しい宇宙に“週(サイクル)”が変わったのだ。何者かが天地創造の週替わりをやってのけたらしい。人はそれを“神の御業”と呼ぶ。旧世界の権威が聖白色同胞団である。では、新世界の権威ははたして何者なのか? 早急に調べ上げて、抹殺する必要がある。神などこの地上にあってはならない。

 「二つの北極星、厄介なことだ。」ローマ法王はため息をついた。

 

 台湾では、木下誠司が下船の準備に入っていた。船に揺られること一週間、途中沖縄を経由して、無事台湾の地に着いた。偽造パスポートを使うときは、さすがにドキドキしたが、無事通過することができた。

 台湾には、黒いドレスをまとった若い女性が案内プラカードを持って待ち構えていた。しろがねが誠司を紹介する。

 黒い服の女性が自己紹介した。

 「コードネーム“黒猫”です。誠司さん、よろしくお願いいたします。あのー、フェイスブックの友達申請してもいいですか?」

 「フェイスブックに、いろいろアップするので、その暗号メッセージが連絡手段だと思ってください。ほかのフェイスブックフレンドには、その暗号性は読み取れません。これが一番安全なメッセージ伝達方法です。」

 「つまり、たとえばパンダの写真がアップされているとすると、それが何らかの暗号メッセージになっている訳ですか?白と黒とか、大熊とか。」

 「はい、その通りです。」

 「魔女たちは、フェイスブックの暗号で情報交換をしています。イイねボタンとかも、特殊な意味があります。」

「昔は、暗号の書いた手紙を送りあってたりしましたが、検閲が入ることがあるので。中国では検閲はよくあることです。」

 一方、ローマ法王は書簡を各教会に送った。666が近いので、皆南米を布教の重点拠点とするように。ドイツの毒素(独祖)が動き出したようだ。そのような内容である。

 毒素アドルフヒトラー。ネオナチスIce Blueの亡霊。イタリアとドイツが軍事同盟を結んでいたのは第二次世界大戦のころであった。しかし、その後両国は急速に関係を悪化させてしまった。敗戦の後、東西ドイツに分割してドイツを売り払ったのは、実はイタリアであったからだ。

 Σは夢から覚めた。眠りについている間に、Σはクローンたちと意識を共有するのだ。クローンたちの事ををアヴァタ―とも呼ぶ。

「またしても聖白色同胞団か。わが聖導王朝第三帝国は、今度ばかりは負けることはできない。」Σは静かに闘志を燃やした。日本はまだ死んではいない。アンタレス星が崩壊したと言っても、その現象が現実化するのはまだ先の話である。

箱舟ARKのマザーコンピューター、Loadが活動を始めた。地球中心のマザーコンピューター、スフィンクスの地下の、ノアの箱舟ARKの制御コンピューターである。

“みつき。つきみ、きみつ、みつき、つきみ、きみつ…。種の採取の後、地球圏を離脱する。ムーリアンよ、目覚めよ。ブルーブラッドに箱舟への乗船許可を与える。Loadはこれより、収穫の時に移行する。”

「うわあ!」相馬猛は目を覚まして先ほど見た夢のビジョンにおののいた。摩天楼が大津波に飲み込まれていく。未来のビジョンであることを直感的に悟った。

永遠のうた eternal songs

ふたり姫篇Ⅳ

Fin.

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